お店の事をきちんと書いておきたいと思ったのは久しぶりだ。
それほどこの出会いは嬉しいものになった。
−−4回目にしてやっとこさ予約が取れた店。
予約の電話が断られる時、腹が立つ店っていうのがたまにある。
でも、この店は絶対に行くぞモチベーションが維持どころか増幅していく、気持ちが良い対応。
それ位、予約電話ってとても大切だ。
1分にも満たない電話のやりとりで店の姿勢っていうのか、気持っていうのが伝わってくる。今はネット予約もかなり進んでいるし、それはそれで良いのだけれど、僕はこうして直接やり取りする事で当日お店に行くまでの時間が豊かになるっていうか、楽しくなるっていうか、まぁそういうのが好きだ。
−−先の地震の時もコップ一つ倒れなかったという昭和初期の木造建築。
先に4人グループの会社員が小上がりにいらしゃったが、皆さん、静かに、しかしとても楽しそうに食事をされている。
小さなガスコンロ、狭く急な階段、ステンレスじゃない木製の壁、聞けば年間結構な維持費がかかるんだそう。これだけの味を提供できるんだから余裕で転居も出来るだろう、しかし、この場を守り続けている。
そうした事からも大将が大切にしている事が見えてくる。
−−旨い店は星の数ほどある。厳選素材、料理手法、インテリアとお店のこだわりを挙げたらキリが無いけれど、5感全てが豊かになれるお店っていうとなかなか無い。
ネタの種類も通と言われる食べ方や言葉も良く分からない。
ただ、一人カウンターに座り、大将との会話を楽しみ、店の中の会話に耳を立てながら、木に刻まれた歴史に思いを馳せながら、ちょっと深く呼吸してみる。
口に運ばれた寿司を口全体で転がしながら、飲み込んでいく。
そこに熱燗をすーっと飲んでみる。
身体全体に美味いよなって問いかける。
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