用事を済ませ、市川駅での乗り換え時に、ふと懐かしい店の事を思い出した。
その店は当時、踏切だった時代は人が賑わっていた商店街(らしくないが)を行ったところにある鳥春だ。
市川に店を構えたのが昭和42年。高架が出来て人の流れが変わるとその商店街も一気に寂れてしまったのに、ここだけは今も変わらず同じ場所で市川を見続けてきた。
10年ぶりになるかなぁ。
カウンターに座ると、女将さんが正面で「台風大変だったわね」と始まり、「昨日は大勝した」とパチンコ話しや昔話を始める。このままだと話しだけで終わってしまうと、慌てて「あっ、あの、飲み物を・・・」となるのもご愛嬌。
パチンコは全くやらないので、台の名前を言われても、良く分からないけれど、あの台はどうだ、この店はこうだ、あぁオリンピックはどうだった、昔はこうだったと終始笑顔でワイワイ。そんな女将さんの話しをBGMに”あえて”タレ味の焼き鳥を頬張ると、親父さんとのちょっとした掛け合いが始まったりする。
後からやってきたのはこれまた古くからある某寿司屋の方だ。
暫くすると、「すいません、お土産に焼き鳥10本下さい」。
便利だからと駅ビルじゃなくてこうして地元の店で買って帰るってのが本来だよね。まぁ当然、そうさせる味と雰囲気がここにはあるんだけれど、街の人が支えているって感じが嬉しくなっちゃうんだよね。
お店ってさ、味や値段とかやらなくちゃいけない事は山程あるし、しかもそれが個人店となればその努力は並大抵じゃない。でも、コミュニケーション作りも同じ位に大切だという事は考えるべきだって思うんだよね。
だってさ、味は作れちゃう時代だし、値段だって素材考えなければ安くすることも出来る。でも、コミュニケーション、それから生まれる雰囲気はやろうと思って出来るもんじゃない。
知ってる店で以前ちょくちょく行っていた店で、味はイマイチだけれど何だか繁盛していたり、味はいいのに繁盛していないってお店があった。それぞれがそれなりに努力しているんだけれど、考えて出てくるキーワードにお客さんとの関係作りってある。
ちょっと不便でも「おかえりー」と言ってもらったりするだけで、ただ、「ありがとうございました」と機械的に言われるよりも嬉しくなるし、街でばったり会って「あれーどうしたの?」なんて言われるだけでも、街歩きが楽しくなったりする。
充実感200%の小一時間だったなぁ。
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