この国にはまだまだ素晴らしいアーティストがいる。
大きなホールでは、そのアーティストが持つ素晴らしさを半減させてしまう場合がある。一方で、大きなホールでは、その演出や舞台・音響設備、そして観客の盛り上がりなどでアーティストが持つ力量をカムフラージュしてくれる利点もある。
ライブハウスではこうした誤魔化しが一切効かない。観客とアーティストとのガチンコでもある。声量はダイレクトに分かるし、専門的知識が無くても演奏のうまい下手はメッキが剥がれるかの如く。
目黒 BLUES ALLEY。
お客さんが注文した料理を食べながら、お皿とナイフォークのぶつかり合う音、ワイワイと話す声に笑い声。そんな雑多な雰囲気はライブハウス独特のもの。
そんな中この日登場したアーティスト 吉田美奈子。
数十年来のファンである提灯さんから6年程前に聞かせて頂いたアルバム。
BELLSという名盤(今聞けるのは復活版だけれどオリジナルとちょっと異なるみたい?)
しかも、幻の逸品と語り継がれていた1986年発表の自主制作盤。
そんなアルバムから静かに、そしてソウルフルに聞こえてきた名曲 Christmas Tree。
彼女の登場を待つ間、ビールをやりながらぼんやりとその曲の事を考えていた。
そして、場内が暗くなった・・・。
入り口からゆっくりと笑顔で歩く彼女は、今までその歌声だけを聞いていただけに、意外にも小柄。しかし、一方でなんとも不思議な雰囲気を持つ方。
そんな彼女がステージへ上がった瞬間、そして、河合代介氏の演奏が始まった瞬間、一つのアートになった。河合氏の素晴らしい演奏と彼女の心からの歌声を聞いた時、正直鳥肌が立った。
これは魂だと。
最初から最後まで素晴らしいステージ。カムフラージュがきかないライブハウスでのガチンコ勝負の後、僕は完敗したと言わざるをえない程にまで打ちのめされてしまっていた。
これから3ヶ月に一回はここBLUES ALLEYでライブをやるのだと言う事で、まだ聞いた事が無いという方は一度は聞いてもらいたい。
提灯さんには素敵なクリスマスの機会を頂いた。TKSです!また行きましょう!
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